ぺーぱーの日々

上機嫌でいること、夢中でいることを目標に、今日も色んなことに手を出します。

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短編小説『かぜのこいびと』を読んで、学校をサボった日のことを思い出した

僕は、奈緒子が小学校一年生のとき、彼女の父親である崇さんによって、この部屋に吊り下げられた。僕を銀色のフックで固定し終えると、崇さんは満足げに奈緒子の頭を撫でた。

まるでハンニバルの世界観。

これまで散々刷り込まれてきた異質な世界。

 

今回も価値観の反転した

お話なのかなと思ったけど、

なんと爽やかな。

 

カーテンに心を寄せる。

 

なんとなく似たような感情を抱いたことがある。

中学3年から一人っ子になって、

よく学校をサボるようになった。

 

正しくはサボれるようになった。

 

父親は早く出て行くし、

ばあちゃんは扉を挟んだ隣に住んでる。

誰も気づかない。

 

高校3年間で合計50日は休んだと思う。

3年生では生徒会長なんかした。

誰よりも学校をサボる生徒会長。

よくも選挙勝てたな。

立候補したわけじゃないんだけど。

 

 

休むと決めたら、家を出ない。

出たくないから学校を休む。

 

何をして過ごせしたんだろう。

今ほどスマホは万能ではなかったし、

ずっとテレビを見ていたと思う。

 

疲れたら部屋に戻って寝る。

 

改めて書いたら、

青春を無為にしたようで悲しくなる。

 

まあ、青春は18までと決め込まないで、

いまは昔話を楽しむことにする。

 

 

ぼーっと天井なんかを見ていることもあった。

今でも覚えてる実家の天井。

 

斜めに真っ直ぐ伸びる線。

 

新築当初は喜んで

上がっていたロフトも、

いつの間にか教科書たちの行く末になった。

 

夏は暑くて、冬は寒い。

秘密の拠点にしていたのは

ほんの数時間だったと思う。

 

「こんな風に生きてていいのかな」

ぼーっとしてると考え始める。

いまも、昔も。

 

退屈が迷いを生むんだとつくづく思う。

 

しばらく経てば

「どうして人間をしなきゃいけないんだ」

なんてことを考えている。

 

風に漂うだけのカーテン

立っているだけの二段ベッド

ただそこにあるだけの貯金箱

 

「心を持たないモノになれたらどんなに楽か」

 

被害者意識を持ち始める。

きっと全ては退屈のせい。

 

この前母親は、

最近刺激がなくて嫌になる

と手紙で伝えてきた。

 

それは退屈のせいだよ。

手を動かせば充実するよ。

点字や手芸、漢検の勉強

僕が覚えてる限り、

手を動かす母を思い出して

こんなことをやったら?と伝えた。

 

退屈だから

カーテンに恋するし、憧れもする。

 

なんて強引にまとめてみたら、

小説の奥ゆかしさが見事に損なわれた。

 

 

でもお陰で、

あの日々のこと、

焦りを覚えるのは歳をとったからではないことを思い出せた。

 

ありがとう、カーテン。